K.A 様(60代男性)
60代の男性から相談、90代の父から賃貸不動産の経営実務に関してすべて任されていました。また相談者(次男)と長男の兄はとても仲が悪い。兄は以前、「次男が母の財産を勝手に使っている!」という訴訟を起こそうとしたことがあり、何かにつけて因縁をつけてくるので、法的にきちんと対抗できるようにしたいとのご要望でした。
最初は家族信託にご興味があり、その方向で進めていました。しかし、父の所有する不動産の価値が大変に高いこともあり、見積りをしたところ信託組成コンサル費用や信託登記費用が合計で200万円を超えてしまいました。そのため、資産の大きさに組成費用があまり左右されない「任意後見契約」を結ぶことにしました(約20万円)。
任意後見は、後見人に相談者が就任した場合、第三者である任意後見監督人の監督が入ることがネックになることが多いです。しかし、今回のケースでは、第三者の監督があるほうが、兄も納得しやすいのではないかという結論となり、家族信託ではなく任意後見が選ばれることとなりました。
また、父の現在の公正証書遺言が「自宅は三男に」となっていることが判明。自宅敷地は、もともと相談者と父の共有になっており、このままでは父が亡くなると、自宅敷地は相談者と弟の共有になってしまうことが判明。税理士による価値の計算と、土地家屋調査士による測量の上、共有土地を単独所有の二筆に分筆し交換し、司法書士にて登記を行いました。
その後、公正証書遺言を書き直す予定でしたが、コロナ禍により、老健施設にいる90代の父が外出することも、公証人と面会することも不可能となってしまいました。
その後、誤嚥性肺炎にて入院することになり、公正証書遺言の書き直しは断念せざるを得ないことになりました。相談者は父から、以前の公正証書遺言の内容と異なる自筆証書遺言を預かっていましたが、誤字脱字もあり裁判になるのは必至の状況です。早めに書き直さなければいけない案件でした。